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海外在住者の資産運用

海外不動産の円損益とローンの計算

20万ドルの海外不動産を仮定し、家賃の純収支、円高時の売却損益、ドル借入の効果を計算。現金収支と税務の違い、日本居住者の海外売却課税を整理します。

為替変動後の海外不動産購入予算を確認する買主

海外不動産が現地通貨で値上がりしても、円へ戻すと損失になることがあります。さらに家賃利回りが高く見えても、空室、修繕、管理費、借入返済を引くと現金が残らない場合があります。米ドル建て物件を仮定し、購入・運営・売却を分けて計算します。特定国の物件推奨や現地税制の比較ではありません。

表面利回り6%と手元収支は違う

物件価格20万ドル、年家賃1万2,000ドルなら表面利回りは6%です。次の運営費を置くと、借入返済前の現金収支は変わります。各金額は仮定で、取得費用・税金はまだ含めません。

年額の項目仮定額収支への扱い
満室時の家賃12,000ドル収入
空室・未回収の見込み1,000ドル収入減
管理・保険・修繕等3,000ドル現金支出
返済前の純収支8,000ドル物件価格に対して4%
借入利息4,000ドル現金支出
借入元本返済3,000ドル現金支出
返済後の残額1,000ドル所得課税前の現金

税務上の所得と現金収支は一致しません。元本返済は現金を減らしますが、そのまま経費になるものではありません。一方、減価償却はその年に同額の現金を払う処理ではありません。国税庁No.1370の不動産所得の計算とも区別し、手元資金用と申告用の表を別に作ります。

10%値上がりしても円高で損失になる例

20万ドルの物件を1ドル150円で現金購入すると3,000万円です。後に22万ドルへ10%値上がりした場合でも、売却時のドル円次第で結果は変わります。ここでは取得・売却費用、税金、保有中の家賃を除きます。

売却時の仮定レート22万ドルの円換算購入時3,000万円との差
165円:円安3,630万円+630万円
150円:横ばい3,300万円+300万円
130円:円高2,860万円−140万円

費用なしの分岐レートは3,000万円÷22万ドル≒136.36円です。さらに売却費用を売価の4%と仮定すれば、残るのは21万1,200ドルとなり、分岐は約142.05円へ上がります。現地価格の値上がりだけで出口を決めない理由です。

ドル借入は為替のずれを減らしても損失をなくさない

物件20万ドルに対しドル借入10万ドルなら、当初の純資産は10万ドルです。ドル資産とドル負債を対応させることで、純資産部分の為替変動へ整理しやすくなります。ただし円で利息を払う場合は、円安で返済に必要な円額が増えます。

また物件価格が20%下がって16万ドルになり、借入残高が10万ドルのままなら純資産は6万ドルです。物件は20%下落でも自己資金部分は40%減ります。売却代金から借入を完済できるか、期限前返済費用があるかも出口の計算へ入れます。

円借入でドル物件を買うと、資産はドル、負債は円に分かれます。円高で物件の円評価が減っても円の借入額は減りません。ローン通貨は金利の低さだけでなく、家賃の通貨と返済原資の通貨を合わせて比較します。

日本での課税は円換算して判定する

日本の居住者(非永住者の特則を除く)について、国税庁No.3560は海外不動産の売却も課税対象とし、譲渡価額・取得費等の円換算を説明しています。現地通貨での利益だけに売却時レートを掛ける計算ではありません。上の資金計画の例も、減価償却後の取得費等を含む実際の課税所得とは別です(2026年9月6日確認)。

現地でも所得税に相当する税が課される場合、一定の範囲と要件で外国税額控除を使えることがあります。現地で払ったすべての税や費用が日本で全額戻る制度ではないため、税目・納税証明・対象年を保存します。国ごとの所有制限や登記、賃貸規制も契約前に現地の公的資料で確かめる必要があります。

買う前に3枚の表を作る

  • 購入表:契約代金、税・登記・仲介、送金、手元に残す修繕資金。
  • 年間収支表:空室を反映した家賃、管理・修繕、利息・元本返済、税金。
  • 売却表:売価、費用、借入残高、税金を引き、最後に円へ換算した回収額。

物件価格と稼働が改善する強気ケース、横ばいの中立ケース、空室と円高が重なる弱気ケースで同じ表を作ります。送金に伴う為替・中継手数料も加えれば、表面利回りでは見えない追加資金の必要額を判断できます。

参考情報

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本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、投資助言ではありません。 記載内容は執筆時点の情報です。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。 詳しくは投資情報に関する免責事項をご確認ください。