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地政学と為替

BRICS決済と共通通貨は何が違う?

BRICSの現地通貨決済、決済網、共通通貨を区別。2025年リオ宣言とBIS統計を基に、企業の交換費用が減る条件と、ドル需要が残る理由を解説します。

銀行の事務室で国際商取引の決済書類を確認する担当者

BRICSが自国通貨の利用を増やしても、直ちに共通通貨が生まれるわけではありません。企業が支払う通貨、銀行間で送金する仕組み、各国が発行する通貨制度は別です。ドルを介さない取引が何を変え、何を変えないのかを整理します。

現地通貨決済・決済網・共通通貨を分ける

言葉具体的な意味それだけでは決まらないこと
現地通貨決済輸出入代金を人民元、ルピー、レアル等で払う受取企業がその通貨を持ち続けるか
越境決済インフラ銀行等の送金・照合・清算をつなぐ仕組み価格表示や最終支払に使う通貨
共通通貨複数国が共通の通貨を使う制度発行主体、金融政策、信用供与や損失負担の合意が別に必要

2025年リオ宣言の49〜50項は、現地通貨による資金調達やBRICS越境決済イニシアチブの議論継続を扱っています。また2025年5月のエネルギー共同声明の解説は、エネルギー貿易での現地通貨利用に触れています。これらの取り組みを、共通通貨の発行開始と読み替えることはできません(2026年9月6日確認)。

人民元で受け取った企業は何をするか

ブラジルの輸出企業が中国の輸入企業から人民元で受け取り、従業員にはレアルで給与を払う場合を考えます。中国の設備を買う支出もあれば、その部分は人民元のまま使えます。しかし全額をレアルへ替える必要があるなら、人民元・レアルの交換市場の厚みと費用が重要になります。

直接交換の取引量が小さければ、金融機関の内部では人民元からドル、ドルからレアルという経路を使う場合もあります。「請求書がドル建てではない」と「取引のどの段階にもドルを使わない」は同じではありません。

二段階の交換を省ける場合の計算例

レート変動を除き、円換算100万円相当の代金を交換すると仮定します。ドルを経由する2回の交換で各0.4%の費用がかかれば、手元は100万円×0.996×0.996=992,016円相当です。直接交換の費用が0.5%なら995,000円相当で、2,984円多く残ります。

仮定経路費用後の受取額条件
ドル経由、0.4%を2回992,016円相当2回分の交換が必要
直接交換、0.5%995,000円相当直接市場が使え、受取人も対応
直接交換、1.0%990,000円相当市場が薄く割高なら逆転

数字は料金の比較方法を示す仮定で、実在サービスの手数料ではありません。現地通貨決済が使えても、交換費用、資金を受け取るまでの日数、為替予約の可否まで含めなければ企業の利点は決まりません。

決済の変化とドル資産の需要は別

BISの2025年4月調査では、ドルは外国為替取引の89.2%で片側の通貨になっています。これは貿易決済シェアでも外貨準備シェアでもなく、為替取引の統計です。1取引に2通貨を数えるため、通貨別シェアの合計は200%になります。

輸出企業が自国通貨で代金を受け取っても、ドル建て債務の返済や金融資産の保有にドルを買うことがあります。取引通貨の変更が、ドル建ての資金調達・運用の選好まで同じ速度で変えるとは限りません。

ニュースは導入範囲と利用実績で読む

  • 利用拡大に強気:受取・支払の両側で現地通貨を使え、取引量が増え、実費と所要時間も改善する。
  • 中立:特定の国・品目の取引に定着するが、資金調達や資産保有ではドルが残る。
  • 弱気:余った通貨の使途がなく、交換や送金の制約が費用を増やす。

声明の次に確認したいのは、参加銀行、対象通貨、商用取引の開始、取扱額、送金費用です。共通通貨の有無を一言で論じるより、企業が実際に使える範囲が広がったかを追う方が、ドル依存のどの部分が変化したかを把握できます。

参考情報

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本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、投資助言ではありません。 記載内容は執筆時点の情報です。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。 詳しくは投資情報に関する免責事項をご確認ください。