
企業型DCの退職時の残高は、転職先の給与口座へ自動で振り込まれる退職金ではありません。移換手続きをしないまま期限が過ぎると、資産が現金化されて国民年金基金連合会へ自動移換され、運用できない状態で費用が差し引かれます。まず旧勤務先のDC通知を探し、資格喪失日と現在の管理先を確認します。
6か月は転職先の入社日から数えない
通常の移換期限は、企業型DCの加入者資格を失った月の翌月から6か月です。移換案内の起算月も確認し、「退職から半年くらい」と曖昧に管理しないことが大切です。退職日と資格喪失日が同じとは限らないため、DCの通知に記載された日付を使います。
| 仮定した通知内容 | 数え方 | 家計側の対応 |
|---|---|---|
| 2026年4月に資格喪失 | 5月から10月が6か月 | 10月直前の申込みを避ける |
| 転職先へ7月に入社 | 7月から数え直さない | 新制度の担当者へ旧DCを伝える |
| すでに自動移換通知が届いた | 旧口座での運用は再開できない | 通知番号を用意して移換先へ申し込む |
書類の不備や基礎年金番号・氏名の不一致があれば照合が止まることがあります。申込書を発送した日だけで完了とせず、受付状況と移換完了通知まで追います。引越し後も旧住所のままだと通知自体を見落とすため、住所変更も同時に処理します。
2026年4月から管理手数料は月98円
連合会の改定通知によると、2026年4月分から管理料は月98円です。内訳は連合会40円と特定運営管理機関58円。過去記事の月52円をそのまま使うと費用を過小評価します。以下は税込みで、2026年9月6日に確認した内容です。
| 場面 | 費用 | 対象時期 |
|---|---|---|
| 新規の自動移換 | 4,348円 | 3,300円+1,048円 |
| 自動移換中の管理 | 月98円 | 自動移換月の4か月後から |
| 企業型DC・iDeCo・DB等へ移換 | 550円 | 2026年4月以降の受付。移換先費用は別 |
仮に20万円が新規自動移換され、新料金の管理料が12か月分かかってから他制度へ移すなら、ここに掲げた費用だけで4,348+98×12+550=6,074円、残額は19万3,926円です。「自動移換から12か月経過」と「管理料12か月分」は違うため、課金開始前の期間を混ぜていません。実際の残額には他の費用や精算も影響します。
損失は費用だけではなく、加入期間にも関係する
特定運営管理機関は、自動移換中は運用できず、老齢給付金の受給開始に関係する通算加入者等期間にも算入されないと説明しています。受給可能年齢に達しても、自動移換されたままでは老齢給付金を請求できません。
ただし「放置すれば毎年必ず投資利益を失う」という計算も適切ではありません。運用を続けた場合の結果は相場と商品次第です。確定している管理料と、運用できないことによる機会の変化、加入期間の扱いを分けて判断します。相場が下がっていたから放置が正解だったと後から考えても、制度上の手続きは解決しません。
新しい掛金を出せるかと、資産を移せるかを分ける
転職先に企業型DCがある場合は、その制度への受入れを担当者に確認します。ない場合はiDeCoへの移換を検討し、加入して掛金を出すか、運用指図者として既存資産だけを管理するかを分けます。確定給付企業年金等への移換は受入制度の条件があるため、全員が同じ移換先を選べるわけではありません。
厚生労働省は、加入確認ができた場合の申出によらない移換処理も説明しています。しかし自分の記録が照合されたとは限りません。転職先にDCがあるだけで完了とせず、旧残高が新しい口座に反映されたかを見ます。生活費が足りないことだけを理由に、年金資産を自由に現金で引き出せる制度でもありません。
残高が見つからない場合に用意するもの
旧会社名、退職・資格喪失日、基礎年金番号、旧姓・現姓、旧住所、DCの加入者番号を整理します。まだ旧制度にあるなら旧運営管理機関、すでに自動移換なら通知記載の窓口と移換先へ確認します。年金資産の移換と、移換後の商品の配分指定は別の手続きになる場合があります。
最後に移換額、控除された費用、運用開始日、加入期間の記録を保存します。掛金の所得控除を得るために無理な新規拠出を始める前に、まず既存資産を管理できる状態へ戻す。転職直後の現金が少ない人でも、この順序なら資産の所在と今後の手続きを具体的にできます。
移換先の比較では、口座の年間管理費、保有したい商品の有無、運用指図者になった後の費用を確認します。広告にある加入者向けの費用だけでは、掛金を止めた状態の負担が分からないことがあります。残高が小さいほど定額費用の割合が大きくなるため、前述の20万円の例なら月98円の12か月分だけでも残高の約0.59%に相当します。これは運用の年率ではなく費用割合です。
自動移換通知を失くしていても、別の新しいiDeCo口座を申し込むだけで過去の残高が必ず統合されるとは限りません。申込先へ自動移換資産がある旨を伝え、通知の再確認と本人情報の照合を進めます。完了後に届いた旧制度の書類も、加入期間を追う資料として保管します。
参考情報
4件- 自動移換と手続き (新しいタブで開く) 国民年金基金連合会・特定運営管理機関
- 2026年4月手数料改定 (新しいタブで開く) 国民年金基金連合会
- 年金資産の持ち運び (新しいタブで開く) 厚生労働省
- 移換手続き (新しいタブで開く) 大和証券
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