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投資の基礎

金と円預金は何を守るか|購買力・円高・売却費用を100万円で比較

円預金と金を、支払日の確実性と購買力の観点から比較。物価上昇、ドル建て金価格と為替、売買価格差を100万円の仮定例で計算し、現物の税金も整理します。

生活防衛資金の円預金と長期保有する金の役割を比較する家族
現金は流動性、金は価格変動と購買力の分散というように、目的と期間を分けて考えます。

「守りの資産」と呼ばれる金と現金ですが、守れるものは違います。半年後の学費100万円を期日に払うことと、10年後にも同じ量の物やサービスを買えることでは、適した置き方が変わります。ここでは現金のうち主に円普通預金と、借入やレバレッジを使わない金保有を比べます。

支払える金額と購買力を分ける

円預金は、円での請求にそのまま使える点に強みがあります。金は円に換金して初めて支出に使えるため、支払日の価格が下がっていれば予定量より多く売る必要があります。一方、預金残高が同じでも物価が上がれば買える量は減ります。名目額の安定と購買力の維持は、同時に確約されるものではありません。

比較する点円普通預金
円での支払い引出しや振込で使える売却と入金の手続きが必要
保有中の収入条件に応じた利息金そのものは利息・配当を生まない
円の評価額価格変動はないがインフレで実質価値が低下金相場と為替で増減
主な費用口座条件や振込・引出し費用売買価格差、保管料、商品によって管理費用

金融庁の預金保険制度によると、対象となる利息付き普通預金などは、1人・1金融機関ごとに合算して元本1,000万円と破綻日までの利息等が保護されます(2026年9月6日確認)。この保護は銀行破綻に備える仕組みで、物価上昇による購買力低下を補う制度ではありません。

物価が上がると100万円で買える量はどう変わるか

計算用に、1年間の物価上昇率3%、預金の税引後利回り0.5%と仮定します。100万円の残高は100万5,000円になりますが、現在の物価に換算した価値は100万5,000円÷1.03≒97万5,728円。残高は5,000円増えても、買える量は約2.43%減った計算です。

利息を考慮しない現金100万円なら、年3%の物価上昇が5年続いた場合の実質価値は100万円÷1.03の5乗≒86万2,609円です。ただしこれは物価の予測でも、銀行金利の紹介でもありません。日々の支払いを優先して円を持つことには、この機会費用を受け入れる面があります。

家計の物価は平均的な指数と完全には一致しません。家賃が固定で食費が多い家庭と、住宅修繕や海外学費を控える家庭では影響が違います。まず支出項目と時期を並べ、その不足を何で補うかを考えます。

金がドルで上がっても円では下がる場合

円建て金価格は、概ねドル建て金価格とドル円の組み合わせで動きます。堂島取引所の価格変動要因の説明でも、円安は円建て価格を押し上げる要因として整理されています。実際の国内価格には単位換算や取引費用等も入るため、次はその影響を除いた保有価値のモデルです。

当初100万円、1ドル150円から1年後を比べる仮定例
ドル建て金価格1年後の為替計算円の評価額
+10%150円:横ばい100万円×1.10110万円
+10%135円:円高100万円×1.10×135÷15099万円
-10%165円:円安100万円×0.90×165÷15099万円
-10%135円:円高100万円×0.90×135÷15081万円

ドル建て価格の上昇が円高で消える一方、円安でも金の値下がりを完全に埋められるとは限りません。日本の物価が上がった年に金も同率で上がる契約はないため、金だけで翌年の支出増を賄う設計にはずれが残ります。

売るときの価格で費用を測る

現物の売買では、販売店が売る価格と買い取る価格を同時点で比べます。仮に購入価格が1グラム1万円、買取価格が9,800円なら、100グラムを100万円で買い、そのまま売ると98万円です。相場が変わらなくても2万円の差が生じます。価格は架空で、別途手数料や消費税の表示条件を揃えた例とします。

現物なら保管方法、盗難への備え、持ち込みや配送、買取時の確認にも時間と費用がかかります。ETFや投資信託なら保有中の運用管理費用と売買条件を見ます。自分で地金を保管しない代わりに、ファンドの連動対象と保管・運用の構造を読む必要があります。現物、先物を使う商品、鉱山会社の株式は値動きの仕組みが異なります。

「金を持つ」という分類だけで比較せず、買った翌日に売ると受取額はいくらか、1年保有すると継続費用はいくらかの二つを計算すると、短期保有と長期保有の違いが見えます。

現物の利益と金融商品の税金を混同しない

国税庁No.3161では、金地金の売却益は原則として総合課税の譲渡所得とされます。5年超の所有は長期譲渡所得となり、所定の特別控除後の金額の2分の1が課税対象です。50万円の特別控除は、その年の他の総合課税の譲渡益と共有します(令和7年4月1日現在法令等、2026年9月6日確認)。

例えば取得・売却費用を差し引いた利益が80万円で、他の対象譲渡益がない場合、5年以内なら控除後30万円、5年超ならその半分の15万円が課税対象となる計算です。これは税額ではありません。適用される税率は他の所得等で変わり、継続的な売買には別の扱いがあります。また、この現物の計算を金ETFや金投資口座へそのまま使うことはできません。

また、金の評価益を支出へ回すときは、売却後に残る金の量も記録します。例えば100グラムの一部を学費に使えば、その分だけ将来の価格変動へ参加する量が減ります。値上がりした年の売却額を毎年受け取れる収入と扱わず、現金化による残高の減少も家計計画に入れます。価格が下がった年に売却量を増やさず済むかが、長期保有を続ける条件になります。

使う時期を決めてから役割を割り当てる

半年後に100万円を払う必要があるなら、金の値下がりを待てるかが判断の分かれ目です。必要額を金の評価額だけで準備した場合、表の81万円の局面では19万円を別に用意することになります。売却を延期できない支出ほど、円で確保する意味が大きくなります。

一方、当面使う予定がなく、円以外の価格形成要因にも資産を分けたい資金なら、金を比較対象にできます。その場合も、金の価格下落、利息がない期間、継続費用を受け入れる額で考えます。配分比率を先に決めるより、支払日までの円不足額と、金を売らずに待てる期間を確かめる方が目的に沿います。

次に比べる資料は、預金の適用金利・保護対象、金商品の同時点の売買価格、保有費用、売却代金の入金日です。家計全体で購買力を考える場合は、インフレ時の資産の役割分担もあわせて検討できます。

参考情報

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本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、投資助言ではありません。 記載内容は執筆時点の情報です。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。 詳しくは投資情報に関する免責事項をご確認ください。