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投資の基礎

2026年版:株式譲渡損失の3年繰越控除:実践的な節税戦略

上場株式の譲渡損失は3年間繰り越せる強力な節税ツール。年末の損出し戦略、配当との損益通算、特定口座と一般口座の違い、確定申告手続きまで実例で解説します。

株式損失の明細と確定申告記録を年度別に整理する利用者
株式の譲渡損失を翌年以降へ繰り越すには、期限内の確定申告と継続申告が必要です。

株式譲渡損失の3年繰越控除

この記事のポイント
  • 上場株式の譲渡損失は翌年から3年間、利益と相殺できる
  • 同年内なら配当所得との損益通算も可能(要確定申告)
  • 繰越中は毎年確定申告必須。1年でも欠かすと打ち切り
  • NISA口座の損失は繰越不可。特定・一般口座のみ対象

株式投資をしていれば、損失を出すことは避けられません。しかし、適切に確定申告をすれば、その損失を翌年以降の利益と相殺し、税負担を大きく軽減できます。これが譲渡損失の繰越控除制度(租税特別措置法第37条の12の2)です。

繰越控除の適用条件

  • 対象:上場株式・公募株式投信・上場ETF・上場REIT等
  • 取引方式:一般口座・特定口座(源泉徴収あり/なし)どちらでも可
  • NISAは対象外:NISA口座での損失は他の口座と相殺できず、繰越もできない
  • 確定申告必須:損失年・繰越中年は必ず確定申告

3年繰越のシミュレーション

損益 繰越損失 課税対象 節税額
2024年 −300万円 −300万円 0円 確定申告で繰越権発生
2025年 +100万円 −200万円 0円 20.315万円
2026年 +150万円 −50万円 0円 30.47万円
2027年 +200万円 0円 150万円 10.16万円(残り50万円相殺)

3年間の節税額合計は約60万円。300万円の損失が、税金として戻ってくる仕組みです。

年末の損出し戦略

「損出し」とは、年末に含み損のある銘柄を売却して損失を確定し、利益と相殺するテクニックです。

損出しの実践手順

  1. 年末(12月最終取引日まで)に、含み損のある銘柄を売却
  2. 同年内に他の利益と相殺
  3. 翌年以降に同じ銘柄を買い直す(「クロス取引」)

確認:受渡日に確認

株式の売買は約定日から2営業日後(T+2)に受渡が完了します。年末の取引では、12月最終受渡日までに約定する必要があります。例えば2026年の最終受渡日は12月30日(火)。年末ぎりぎりは間に合わないリスクがあるため、12月中旬には判断を下すことが一つの目安になります。

配当との損益通算

同年内なら、株式譲渡損失と配当所得を損益通算できます。これには配当を申告分離課税で確定申告する必要があります。

具体例

  • 株式譲渡損失:100万円
  • 配当所得:50万円(源泉徴収済 約10.16万円)
  • 申告分離課税で申告 → 配当所得との損益通算で配当税相当額が還付
  • 残り50万円の譲渡損失は翌年以降に繰越

特定口座と一般口座

特定口座(源泉徴収あり)

  • 証券会社が損益計算・税金徴収を代行
  • 確定申告不要が原則
  • ただし、繰越控除を使うには確定申告必須
  • 証券会社が「年間取引報告書」を発行

特定口座(源泉徴収なし)

  • 証券会社が損益計算は代行するが、源泉徴収はなし
  • 利益発生時は確定申告必須
  • 給与所得者で利益20万円以下なら申告不要(ただし住民税申告は必要)

一般口座

  • すべての損益計算を自分で行う
  • 確定申告必須
  • 未公開株・外国の私募ファンド等で使用されることが多い

確定申告の手順

必要書類

  • 特定口座年間取引報告書
  • 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
  • 確定申告書第一表・第二表・第三表
  • 給与所得の源泉徴収票(会社員)
  • マイナンバー関連書類

記載のポイント

  1. 第三表(分離課税用)に譲渡損失を記載
  2. 翌年に繰越す場合は「申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」を添付
  3. e-Taxなら計算式が自動入力される項目が多い
e-Taxで時短

マイナンバーカード対応のスマホアプリ「マイナポータル」と連携すれば、特定口座年間取引報告書のデータが自動取込されます。手入力ミスを防げる強力なツール。

確認ポイント

1. 繰越中は毎年申告必須

3年繰越中の年は、損益が0でも確定申告が必要。1年でも申告を欠かすと、繰越権が消滅します。

2. NISAの損失は救済されない

NISA口座の損失は他の口座の利益と相殺できず、繰越控除も適用外。NISAでハイリスク投資をする際の重要な留意点。

3. 国民健康保険料への影響

確定申告で利益を申告すると、合計所得が増えて翌年の国保料が上がる可能性。総合判断が必要です。

4. 配偶者控除・扶養控除の判定

申告分離で確定申告した利益も合計所得に算入され、扶養から外れる可能性があります。

5. 年末の損出し戦略は売買コストとの兼ね合い

取引手数料・スプレッドコストが節税効果を上回らないよう確認。少額の損出しは費用対効果が悪いケースもあります。

まとめ

株式譲渡損失の繰越控除を使うには、損失が生じた年から継続して確定申告する必要があります。配当との損益通算が有利とは限らず、国民健康保険料などへ影響する場合もあるため、自分の所得区分と翌年以降の利益見込みを確認します。

年末の損出し、配当との損益通算と組み合わせれば、年間数十万円の節税につながるケースも少なくありません。確定申告は手間ですが、それを上回るリターンがあります。

最後に確認するポイント

同日の買い戻しは平均取得価額に影響

同じ日に売却・買い戻しすると、平均取得価額の計算で損失が小さくなる可能性があります。1日空けて翌営業日以降に買い戻すのが安全です。

参考情報

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本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、投資助言ではありません。 記載内容は執筆時点の情報です。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。 詳しくは投資情報に関する免責事項をご確認ください。