
自宅の土地について、公示地価を使うと3,000万円、路線価では2,000万円と出ても、どちらかが誤りとは限りません。価格を決める目的、対象地点、時点が違うからです。相続と売却を考える人が、土地の評価額を税額や手取りへ誤って読み替えないための計算手順を示します。制度は2026年9月6日確認、金額・面積・補正率は説明のための仮定です。
最初に用途と単位をそろえる
| 見る数字 | 主な目的 | 確認する単位・対象 |
|---|---|---|
| 地価公示 | 土地取引の指標等 | 標準地の1㎡当たり価格 |
| 相続税路線価 | 相続・贈与の土地評価 | 道路に付いた1㎡当たり千円表示 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税等の評価 | 所有する土地・家屋それぞれ |
| 成約価格 | 実際の売買 | 土地だけか建物込みか |
国土交通省の地価公示制度は、1月1日時点の標準地の正常な価格を示します。近隣の自宅を個別に査定した値ではありません。駅距離が同じでも接道、形状、用途制限などが違えば、標準地の単価をそのまま掛けた金額と成約価格はずれます。
売出価格は売主の希望で、成約価格とは違います。土地と中古建物を合わせた価格を、土地だけの公示地価や路線価と比較しないことも大切です。土地面積、建物面積、価格の範囲を同じ表へ書くと混同を防げます。
路線価200なら100㎡でいくらになるか
国税庁の土地家屋評価の案内では、路線価方式は単価を奥行価格補正率等で補正し、面積を掛けて評価します。仮に路線価図の数値200を使うなら1㎡20万円です。100㎡で補正を省けば2,000万円となり、200万円ではありません。
仮に適用する補正率が0.95なら20万円×0.95×100㎡=1,900万円です。この率は実際の土地に適用されるものではありません。不整形、角地、複数道路、借地・貸家建付地等の条件で計算が変わり、道路にある数字だけでは確定できないためです。
路線価のない地域では倍率方式を確認します。例えば対象土地の固定資産税評価額1,500万円、指定倍率1.1という仮定なら1,650万円です。この場合は評価額全体へ倍率を掛けており、さらに土地面積を掛けません。対象年分と地目を確認してから方式を選びます。
土地の評価額は相続税額ではない
評価が1,900万円と出ても、相続税が1,900万円になるわけではありません。税額は他の財産、債務、基礎控除、相続人、各種特例などを含む計算の結果です。土地一筆の評価作業と、相続全体の税額計算を分けます。
また一定条件を満たす宅地の特例を、路線価図の金額から自動で引くこともできません。誰が取得するか、利用や保有の状況、申告要件などが関係します。路線価だけで家族への分配や納税資金を決めず、土地の評価明細と相続関係を合わせて確認します。
仮に家族の分割協議で土地の売却価値を比較するなら、税務評価額と売却査定額の両方を別欄で残します。税務上の評価が低いことと、同額でしか売れないことは同じではありません。売却前提なら仲介等の費用や売却時の税金も別途必要です。
固定資産税は評価額と課税標準額を区別する
横浜市の固定資産税の説明では、税額は課税標準額×税率1.4%です。通知書の価格・評価額と、税率を掛ける課税標準額は同額とは限りません。住宅用地特例や負担調整などがあるためです。所在地の自治体の課税明細で確認します。
| 仮定の課税明細 | 金額 |
|---|---|
| 土地の評価額 | 1,800万円 |
| 固定資産税の課税標準額 | 300万円 |
| 税率1.4%を掛けた額 | 4万2,000円 |
この例で評価額1,800万円へ直接1.4%を掛けると25万2,000円となり、明細の課税標準で計算した額と異なります。300万円になることを全ての土地へ保証する例ではありません。建物分、都市計画税、減額や端数処理等も別に確認します。
建物を取り壊して更地にした場合も、土地の利用条件が変われば課税への影響があり得ます。更地の売りやすさだけで判断せず、翌年度の税と解体費を自治体・業者へ確認してから計画へ加えます。
査定額から使える現金までを一枚で整理する
仮に売却代金3,000万円、売却費用120万円、返す住宅ローン1,000万円なら、売却時税金を引く前の現金は1,880万円です。相続税評価1,900万円と近くても偶然であり、計算の意味は違います。譲渡所得の計算ではローン返済額をそのまま取得費として引くわけではありません。
資料は、対象年の路線価図、登記事項、固定資産税課税明細、面積・形状が分かる資料、複数の売却査定をそろえます。共有や境界未確定があれば売却期間にも影響するので、価格だけでなく売れるまでの維持費も予算化します。
市場が強い場合でも税評価と売値の差は固定比率ではありません。横ばいでも個別条件で差が開き、弱い市場では売却期間と値引きが現金計画へ影響します。土地評価は「どの価格が正しいか」ではなく、用途に合った数字を使い分ける作業です。
家族で比較する資料は同じ年と面積にそろえる
例えば登記の土地面積100㎡と、売却査定の測量面積102㎡が違えば、同じ20万円の単価でも総額は40万円変わります。単価の評価差なのか面積の差なのかを分けるため、どの資料の面積を使ったかを計算表へ残します。境界や測量が必要な土地では、その作業費と期間も売却計画へ加えます。
資料名が「路線価」でも、相続税路線価と固定資産税路線価では目的が違います。国税庁の相続評価用なのか自治体の固定資産評価用なのかを、サイト名と年度で確認します。同じ道路の数字が違うから誤掲載と考えず、どの税のどの評価へ使う資料かをそろえることが先です。
現金が必要な時期も明記します。相続手続き、売却の契約、引渡し、代金入金、ローン完済は同日に完了するとは限りません。査定額をそのまま預金残高へ足さず、入金前に必要な測量・片付け等の支出を別に確保します。
税理士や自治体へ尋ねる場合は、税額が高いという質問だけでなく、対象年、土地・家屋の別、面積、評価額、課税標準額、適用されている補正や特例を手元に置きます。この順で資料をそろえると、どの計算段階に差があるかを確認できます。
マンションを比較する場合は、中古マンションの単価と維持費の比較も使えます。土地の持分と専有部分、管理費や修繕積立金は別々に確認し、土地評価だけで住戸全体の価値や毎月の負担を見積もらないようにします。
参考情報
3件- 地価公示制度 (新しいタブで開く) 国土交通省
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